Hidari Zingaro
Sae Ishii solo exhibition
「Puppies Dreams」
2024年5月25日より、Hidari Zingaroにて、となりのトトやによる、石井佐枝個展「 Puppies Dreams 」を開催いたします。
京都精華大学の陶芸コースを卒業後、京都の⻄陣で工房を開き、その後花背に移転。現在は滋賀に拠点をおいて作陶を続けています。
今展では可愛らしい子犬たちがギャラリーを彩ります。
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。
作家から本展に寄せて
もともとは学校を出てすぐに器作りをして、問屋仕事をしたり、個展をしたり、その間ふらふらしたり引き篭ったりと紆余曲折ありながらも器の焼物をずっと作ってきたのですが、ある時積もり積もって焼物をやめようと思うに至りました。
その最中、短かに迫った個展前、私的に多大な精神的打撃を受けることが起こってしまい、普段大概のことなら切羽詰まればやるべき仕事はできるのですが、その時は本当に何もできずほとほと弱りきっていました。
それでも何かは作らなければならない、その状況で自分からやっとのことで絞り出せたのが学生時代からごくたまににではあるけれど作っていた人の顔の一輪挿しと、その時の苦痛の源の象徴である熊でした。
リハビリのようにそれらの形を作っていくうちに、ようやくなんとか器を作ることができるようになり、その個展は無事に納めることができ、器でなければ焼物を続けられるかもしれないと思うに至り、器でない物を作る模索を始めました。
焼物をやめると決めた段階でかなり先の展示会等をキャンセルさせてもらっていて、ほぼ今後の予定なしと思い込んでいたちょうどその時、完全にキャンセルし忘れていたグループ展「大土友展」があることを幹事の和田くんからの連絡で思い出し慌てることになるのですが、これが新たなスタートだと思い直し、原土で作って庭で焼いた熊を出品しました。
そして、会期2日間で唯一売れたその熊を買って行ってくれたお客さんが村上隆さんでした。
その後、村上さんが「前日に熊を見て、最終日まだ残っていたら唯一のコレの理解者として買って行こうと思ってた」というニュアンスの言葉を下さって、胸が温かくなった事を覚えています。
その後 「土友の墓場展」等を経て、そのご縁で今回個展を開催させていただくことになりました。
器でない物を模索し始めていたところに、村上さんに動物作ってみない?と言われ、とりあえず作ってみようと作りはじめた動物だったのですが、これは思った以上に自分にとってよいものでした。動物はヒトと言語的コミュニケーションができない、一方通行の愛の対象、つまり愛そのものだなと。
そのことが大変私の気に入りました。
約2年の間に焼き方作り方、器とは違う経験を集中的に積んで色んな動物を作ってみました。
今回の展覧会は仔犬達の様々なイメージを作りました。どうぞご覧になってください。
石井佐枝