Hidari Zingaro
石森五朗個展 「夢の続き、家族の肖像」
2024年12月21日よりHidari Zingaroでは、石森五朗による個展「夢の続き、家族の肖像」を開催いたします。
石森五朗は東京造形大学大学院を修了後、2015年にカイカイキキへ入社。約9年間スタッフとして働きながら、作家活動を続けてきました。今年2024年6月にカイカイキキを退社し、作家活動に集中することを決意。本展は、石森にとってHidari Zingaroで開催する初めての個展となります。
今回発表するのは「家族」をテーマとした絵画作品12点です。両親の過去のポートレートや作家自身とのスナップ写真をもとに制作された新作が並びます。ご高覧ください。
作家からのメッセージ
「お父さんより先に死ぬことはできないわ。だって私がいないと生きていけないもの。」
今回の展覧会のテーマは「家族」です。
家族という題材は、遥か昔からさまざまな形で描かれてきました。
その普遍性ゆえ、時に「使い古されたテーマ」とも言われます。
しかし、前段の母親との会話から、私はこのテーマを正面から取り組みたいと考えました。
それは単に親子関係に向き合うというだけでなく、両親の”人生”や”終生”と深く関わる問いでもあります。
創作に取り組むにあたり、私は多角的なアプローチを意識しました。
リアリスティックな表現。抽象的表現。複合的視点。あるいは、夢のような幻想的な表現の導入。
単一の視点に囚われるのではなく、異なる技法や表現手法を用いることで、このテーマを掘り下げ、新しい側面を発見しようと試みたのです。
それは、さまざまな方向から「家族」を問い直す。という意味になります。
長期間にわたり、一つのテーマを探求し創作をしていると、本当に「夢」のなかにまで、はっきりとした現実と昔の記憶が侵食してきます。
夢のなかでの父は、背筋が伸び、休みの日には野球に興じているし、母はせっせと穏やかに、仕事と家事に集中しています。
作家の村上春樹は、「創作することは夢を見るということだ」とエッセイのなかで書いています。
彼は「創作」と「夢を見る」ということを同義と捉えました。
ただ、私の場合は少し異なり、「創作の先に夢が存在する」のです。
そして、その”夢の続き”として作品が実在します。
そのことから、展覧会名を自然と「夢の続き」と決めることができました。
最後に、皆様とこの展覧会、または自身の作品を通じて、何かお話できればこれほど嬉しいことはありません。
そして、このような展覧会の機会をくださった村上隆様含め、カイカイキキ皆様には、深く御礼申し上げます。