• TOP
  • NEWS
  • 村田森個展「2019年秋の整理整頓」にてトークショウを開催いたします。

2019.10.15

村田森個展「2019年秋の整理整頓」にてトークショウを開催いたします。

2019年10月20日(日)・21日(月)に「トノト/tonoto」にて行われる村田森個展「2019年秋の整理整頓」に伴い、
10月21日(月)にトークショウを開催いたします。

【本展覧会に寄せて】
2019年秋の整理整頓 : 村田森
村田森さんの展示会に関して : 武秀律(トノト店主)
村田森さんが作る器のお店の件に関して : 村上隆

参加希望の方は以下応募フォームよりご応募の上ご参加下さい。
応募フォーム

※お席に限りがございますので、応募者多数の場合はお立見、
もしくは抽選になる場合がございます。

【開催概要】
日時 : 10月21日(月)15:00〜17:00(14:30受付開始)
登壇者 : 武秀律、ウェイ・チェン、村田森、村上隆
入場料 : 無料
会場 : 京都市北いきいき市民活動センター
京都市帰宅紫野北花ノ坊町18【地図
※トノトより徒歩15分

第1部 15:00〜15:50
武秀律( トノト店主)×ウェイ・チェン(陶芸家 中国景徳鎮)
「トノトとは〜工芸の関わりとこの先〜」

第2部 16:00〜17:00
村田森×村上隆
「2019年秋の整理整頓」

※トークショウは日本語のみで行われます。
英語への通訳などはございません

【展覧会情報】
10月20日(日)10:00〜21:00
※オープニングレセプション18:00〜
10月21日(月)10:00〜21:00
※15:00から17:00はトークショウのため閉廊いたします。
尚、トークショウは別会場での開催となりますのでご注意下さい。

展覧会会場 : トノト/tonoto
京都市北区鷹峯黒門町29-2
※駐車スペースがございませんので
お車でお越しの際は付近のパーキングをご利用下さい。

【お問い合わせ】
Instagramアカウント
@tonoto_take

@tonari_no_zingaro

======================================

2019年秋の整理整頓
村田森

2019年7月、癌が見つかりました。
インスタグラム上で告知したところ、トノトのオーナー武秀律さんからお見舞いに行きたいとの連絡をいただきました。
今年オープンしたばかりのギャラリートノトは美しい民家をそのまま残したフレッシュなお店です。
武さんも僕よりずっとお若く美しい青年です。
その同時期にカイカイキキの村上隆さんからも、連絡が来て「トノトを紹介してくれてありがとう。行ってきた、感動したよ!オーナーの武さんと、いろいろお話ししてきて、病気の村田さんを励ます、展示即売会をしたらどうかなって盛り上がったよ。
それでその展覧会は新作の発表ではなく、工房でホコリを被ってきた在庫、お蔵出しの展示即売会をやって応援しようって!」
と言うのです。

しばらく新作の発表もせず、いきなりお蔵出しって言うのもどうなんかなあ…と、思いましたが、でも、昔に作って展示会から戻ってきた物や、その時の自分の気持ちに合わなかったからという事で、そのままにして置いてあった物をもう一度整理してみなさんに見てもらうのもいいのかな、とも思いました。

僕は2016年から今まで3年間、新規の作品を発表してきませんでした。
それは、自分自身物作りとしてもっと深く掘り下げたいと思い、そうすることによって自分を高める事が出来ないかと考えたからでした。
しかし、そうは言ってみたものの、世に問うことなく、黙々と自分に見つめ合う行為は辛いものでした。
今年の年末か、来春頃に再びみなさんに見てもらえるようにしよう!と考えていた矢先に突然に癌の告知を受け、自分自身なかなか思い通りにいかない事に、もどかしい気持ちになりました。

本来新作を見ていただきたい所なのですが、今回はそう言った経緯でこの展覧会を開催しようと思います。

先日病理検査の結果が出ました。ステージ3c。
先日の手術では、直腸にあった大きな腫瘍を摘出したのですが、そのガン細胞、腸壁からわずか出ており、リンパ節への転移4個見つかりました。抗がん剤治療ワンクール3週間を8クール6ヶ月。
これ以上は身体がもたないので、これが限界との事でした。
すぐにでも始めた方がいいとの事。また、初回なので体調管理など様子を見るために入院して抗がん剤治療受けることになりました。9月の終わりからまず入院しての治療が始まります。
副作用がキツイらしいのがメチャクチャ不安ですが、とにかくやるしかない。本当に背水の陣です。
検診後暗い結果に肩を落として妻 扶佐子と2人、雲ヶ畑に帰り、この文章を書いてます。
なんとか必ず病魔を克服して、また、再び思い切り陶芸人間に戻りたいと思います。

久しぶりの京都での展示会がこんな感じで、大変恐縮ではありますが、僕自身は上記のように未来に向かって走り出すきっかけの展覧会になってくれたらとの願いを込めて開催します。
会期の2日間、妻 扶佐子と僕は、会場でお待ちしています。(トークショウ時には展覧会場そのものは閉めると思いますので悪しからず)
昔に作った作品を前に、焼き物の事など、みなさんと語り合えたらと思います。
どうかお時間作って、会場まで足をお運びください。

注)展示会は10月20日、21日です。
21日には、トノトのオーナー、武秀律さん、中国景徳鎮の陶芸家、ウェイ・チェンさん、と、カイカイキキの村上隆、そして、村田森、他、ゲストとのトークショウが、トノトから徒歩15分の別会場、京都市北いきいき市民活動センターにて行われます。詳しくはインスタグラム、フェイスブックで告知いたします。

======================================

村田森さんの展示会に関して

トノト店主 武秀律

こちらから一方的に存在は知っていたものの、村田さんとの初対面は今年四月にご来店頂いた時です。
僕がその名前を知ったのは2011年に村上隆さんのエフエム芸術道場を聞いていて、名前が出て来たからです。
その時まだ作家もののうつわの世界と出会ってない時期だったので、お二人が話していた色々な固有名詞もほとんど分からなかった記憶があります。
2014年くらいから埼玉のうつわノートによく通うようになり、店主松本さんのブログを通して現代工芸の色々なバックグラウンドを知るようになります。
そして「現代陶芸を考えてみる」というカイカイキキギャラリーの催しで村田作品を初めて実際に目にしました。
染付って空々しくなりがちなアイテムですけど、村田さんのティーセットには古染付のような深みと絶妙な現代感があって、魯山人の葡萄文鉢を見た時と同じような感覚を持ち、村上さんがここまでレコメンドする理由をその時実感できました。
作品の品質をアップデートする為に韓国務安に工房を作られたり、ギャラリーでの発表をやめたり、古くからのファンの方々は村田さんの本物を追求する真摯な姿勢も支持されているんだと思います。そして着々と準備していた店舗と、新作の発表直前の癌告知は、あまりにも残念なことです。
この展示会が村田森さんの一助になり、素晴らしい作品を今後もお作りになられることを切に願います。
弊店でこの展示会を開催いただけることを誇りに思います。
多くの方に見て頂きたいです。

【1部のトークショーについて】

うつわとの出会いから京都への出店、今後の目標までお話ししたいと思います。
このトークショーと展示会開催は村田さんが村上さんに弊店をご紹介くださったからで、
その興味のきっかけを作ったのは中国人作家のウェイ・チェンさんでした。
人気作家は各ギャラリーの取り合いになっているのが今の日本のクラフトよりの工芸世界の状況で、中には4年先までスケジュールが埋まっている方もいます。
そんな中、店のオリジナリティはなんなんだろうと思い中国人に目を向けました。
自分の経歴の中で中国人というのは身近な存在で、前職からして全て中国の仕事で、うつわノート八丁堀に勤めていた時にも多くの作品を購入してくれるのは中国人でした。中国人に共感してもらい、食べさせてもらってきたと言ってもいいかもしれません。
そして若い中国人の方が自国の文化に誇りを持って、それらを掘り下げようとしているのは素晴らしいと思うし、
一括りな日本のメディアが報じる中国人像にも違和感を持っていました。
景徳鎮に限っての話かもしれませんが、各作家の元を訪れた時食後は必ずお茶でもてなして下さいます。
非常に生活に密接していてリアリティがあるんですよね。混迷期只中で、クラフトフェアのような市場からは高い熱量に良い未来を感じましたが、
その時お会いできた作家さん全体のレベルはまだ高くない印象でした。
その中で二人の景徳鎮の作家に際立って魅力があり、ウェイさんともう一名の景徳鎮の作家の展示会を企画することになります。
お茶でいうと日本では抹茶茶碗に高値をつける場合、限定された領域に向けた陶芸のための陶芸という感じがしてその行為にあまり共感ができません。
ドメスティックということに違いはないのですが、中国における中国茶器は文化背景による需要ありきで優れた作家の均衡価格が決まっている感じがします。
しかしながら二人の作品は日本の一般的な陶芸の価格帯と比較するとあまりにも高く、ご紹介する為にとった施策により一名は見送らざる追えなくなります。
そういった話も衒いなくしたいです。
本トークショーではお相手に景徳鎮からウェイさんをお呼びしてます。
今の景徳鎮の現状や、日本と中国人作家の違いも作家の視点、店の視点でお話できたらいいなと思います。

================================================

村田森さんが作る器のお店の件に関して
村上隆

京都の新興陶芸ギャラリー、トノトの武秀律さんのご好意によって、
村田森さんの久しぶりの個展「2019年秋の整理整頓」をやらせていただくことになりまして、その告知に挟み込んで、村田森さんの今後の活動に関する報告をさせていただきます。
2019年年末、もしくは2020年の年始に陶芸家・村田森さんと我々カイカイキキの共同事業として、
「となりの村田」というお店を開店しようと思っています。
現在、建築家岡本成貴さんにより、京都・岡崎の町家を鋭意改装中です。

2016年より今日までの約3年間、村田森さん、そして、奥様の扶佐子さんらの思考する未来への物語に賛同して、
陶芸作品制作の環境整備と、
お店作りの準備をお手伝いさせていただいてきました。
いよいよお店の場所も決まり、工事も始まって、完成間近になって来た、2019年8月7日に村田さんに癌の告知があり、正直物凄いショックでした。
検査・手術をして、今現在ではステージ3で、抗がん治療を開始したところです。

村田御夫妻の思考するの未来のビジョンとは、
伝統の再考証を踏まえたプロの料理人へ向けた陶芸作品の制作と、その作品を見せる、売る、までのプレゼンテーションのトータルな世界観の構築でした。
生活工芸ブーム真っ只中の上昇気流に乗っかって村田さんはデヴュー、活動を進めていました。
僕もその時の村田さんに出会って、彼の世界観に夢中になったわけですが、彼と色々話していく内に、
そう言った器ブームの中にある問題点、特に金を得るために、年間10回以上、日本全国で展覧会をやりまくる形式で、
お世話になる各店舗のリクエストに応える事で、お客様に喜んでもらえたらと、トレンドの波に揉まれて行くと、
自分を見失ってしまい、ジックリと制作に集中し切る事など何年間も出来なくなってしまっていた。
そして、村田さんはプロの料理人の方々との対話の中から作品を生み出したい、究極の食と陶芸のマリアージュを求めたいのに、
そんな現場とはドンドン離れていってしまった、と言うのです。

それを解決するには、抜本的な部分からのやり直ししか無い。
やり直しには、今までのお店の関係を完全に断ち切らなければならない、ということになりました。
また、村田森さんの「プロの料理人との対話」と言う方向性がハッキリしてきて、販売を再開するにせよ、
そんな希望を果たせる既存のお店が見当たらず、ならばお店まで作るしかなかろう、と言う事での店舗制作を始めたのです。

しかし、何故?どうして!それらが軌道に乗ってきた時に病魔に襲われてしまった!

今回このトノトさんでやらせて頂く2日間だけの展覧会では、
そんな村田さんが、道を改める前、2015年以前に作られて、今まで、彼の工房で埃を被っていたものを展示即売させていただく事になりました。
癌発症、治療をキッカケに、過去を清算して未来へ向かっていくという一つの儀式的な展覧会となります。
そして今まで村田森さん、扶佐子さんらを愛してくださった方々への、あらためてのご挨拶となります。

限りある命の時間中での芸術の発展、熟成が何処まで可能なのか?
その実践の第1章なのです。

この世というのは、なかなか上手くいきません。
天を仰ぐような無情感を感じることばかりですが、今回の村田さん癌発症は、ことさら痛恨でした。

そんな中でも未来を見つめるべく、過去の作品の展覧会と数ヶ月先にある村田さんのお店「となりの村田」の報告を、させていただきました。

続報は、また、何処かでさせていただきます。
読んでいただいて、ありがとうございました。